電車に乗る度に、トイレに行きたくなってしまう人っていると思います。
トイレに行けない状況に限って、トイレに行きたくなる、という悩みですね。
これを心理的に見ると、『予期不安』というものが関わっています。
これは、先のことを予測して、不安な気持ちになることですが、
多くが、一度経験したことが「また起こるかもしれない!」と思った時、不安につながります。
例えば、トイレのほかにも
「電車に乗ってパニックに陥ったから、電車に乗ったらまたなるかも」とか
「遠足に行くときにバスで車酔いをしたから、バスに乗ったらまた酔うかも」
「前回の面接で顔が真っ赤になってしまったから、また人前で話すときは真っ赤な顔になってしまうかも」
と思うことが予期不安です。
一度辛い思いをすると、「もう二度と嫌だ!」と思いますし、
不安に思うことが増えるんですよね。
そして、精神分析の考え方からすると、”思考は現実化する” ですから、
予期不安を持っている人ほど、現実に、もう一度、辛いことが起こります。
2度あることは3度ある…というように考えてしまって
同じことが繰り返されると、
「車に乗る=酔う」「トイレに行けない場面=トイレに行きたくなる」というのが強化されてしまいます。
ただ、この予期不安、
持ちやすい人と、持ちにくい人とがいます。
例えば、一度、面接で真っ赤な顔になったとしても、
「あの時は、極度に緊張してたし、次はもっとリラックスしていけるだろう」と思えたら、予期不安は起こらないわけです。
これができる人と、できない人、
性格的に何が違うかとざっくり言えば、
プラス思考かマイナス思考か
(ポジティブ思考か、ネガティブ思考か)
というところだと思います。
では、マイナス思考の人が、性格を変えて、プラス思考になるには
どうしたらいいでしょうか…?
そして、予期不安をなくすにはどうしたらいいんでしょうか??
それは、まず、「プラス思考の考え方を、”無理やり”してみる」ことをお勧めします。
そして、プラス思考の本を読んだり、プラス思考の人の近くにいてください。
こんな話もありますしね。
私のところにカウンセリング来る人には、
「そこはこう考えたらどう?」とプラス思考で提案しています。
「それって究極なプラス思考ですよね。そうやって考えられるなら、こんなに悩んでませんよ」と言われますが、
プラス思考での提案を繰り返していくと、
何か考え込んだ時に、「嶋田さんだったら、ここでこう言うんだろうな」と思うそうです。
それって、プラス思考の芽が出てきたって、ことですよね。
カウンセリングの時に私がプラス思考の種を植えたのを、
クライアントさんが栄養を与えて育ててくれたおかげです。
そしてもう一つ、予期不安をなくすために、
「車に乗っても、酔わなかった」というような、大丈夫だった経験を積み重ねるのが一番です。
そして、その入り口としては、自分に”おまじない”をかけて、完全に信じることをお勧めします。
「今日は酔い止めを飲んだから大丈夫」
「バスの前の方に乗れば大丈夫」
「好きな友達と楽しく過ごしてれば大丈夫」
「お気に入りの冷たいジュースを飲んでれば大丈夫」
などですね。
もし万が一、おまじないの甲斐なく、車酔いをしてしまった場合、
その時は、何か別の理由があったからだと考えてください。
(普段よりエアコンの効きが悪かったから、とか)
トイレに行きたくなるかも…という不安も、色々な「大丈夫」を積み重ねると、予期不安は減っていきます。
「直前にトイレに2回行ったから大丈夫」
「頻尿の薬を飲んだから大丈夫」
「電車でも、すぐに降りれるようにドア付近に立ってるから大丈夫」
など、でしょうか…。
そもそも、「トイレに行きたくて恥ずかしい思いをした」というのが、
根底にあるんじゃないかなと思うのですが、
「トイレに行くことはそんなに恥ずかしいことじゃない」と思えたら
「トイレに行きたいときは、その場で行けばいい」と思えるし、予期不安はなくなる気がします。
かくいう私も、トイレ不安がありました。
「トイレに行きたい」と言うのも恥ずかしいし、
自分がトイレに行っている間に周りからどう思われているか、が心配で、
気軽にトイレに行けない、ということがよくありました。
20代になっても、男性とデートしている時にトイレに立てず、
腹痛で結局デートを楽しめない、という事がしょっちゅうでした。
そのうち、デートの間はトイレに行けないと思うだけで、腹痛が起こるわけです。
予期不安ですね。
そんな状況が変わったのは、
きっと、自分の周りにポジティブな人が増えてからだと思います。
例えば、私はスキューバダイビングをしますが、
スキューバ仲間はみんなポジティブな人が多いです。
それは、ダイビングに予期不安は天敵!というのをみんな良く知っているからかもしれません。
というのも、ダイビング初心者は、みんな不安なもので、
船酔いはするし、波酔いはするし、ボンベの空気はちゃんと出るだろうか…など、
不安が付きまとうことが多いのです。
不安が多いと、呼吸が浅くなり、潜ってからも呼吸がしづらくなって、
息が吸えない!!とパニックになり、、
手足をバタバタさせて、海の水を飲んじゃうし、
ライフジャケットを着ているのにも関わらず、溺れてしまう人がいるんですよね。
全ては、「不安な気持ちがあるから」というのが大きくて、
みんなで、その不安をなくすように「大丈夫だよ!」「安心して!」と声をかける場面が多い気がします。
また、生理現象が恥ずかしいという観念も、
ダイビング仲間といると、そうでなくなることが多い気がします。
例えば、船酔いして海の中に嘔吐した場合も、
「餌撒きしたんだ、魚が喜ぶよ」「魚が寄ってきて、むしろ綺麗」と言ってもらえるし
「私も昔はそうだったよ~、慣れだよ慣れ!」と言って、
嘔吐することを「恥ずかしいこと」と思わせないような気遣いをしてくれる人が多いんです。
また、冬はドライスーツという、ダイビングスーツを着て潜るのですが
このスーツは、中に洋服を着て潜れるし、中に海水が一切入り込まないようになっています。
ただ、普通のウェットスートであれば、トイレに行きたくなったら海の中でできるのですが、
ドライスーツの場合、それができず、、
トイレ不安のあった私としては、海の中でトイレに行きたくなったらどうしよう…とかなり心配だったわけです。
ダイビングはチームで潜るので、
自分がトイレに行きたくて地上に上がりたいとなれば、他の人も一緒に上がってくる必要があって、
「みんなに迷惑をかけるのも嫌だ」という気持ちもあったと思います。
だけど、ある時、ふと不安を口に出してみたところ、
周りから言われたのは
「オムツすればいいじゃん」ということでした。
え?!オムツ?!
と一瞬衝撃を受けましたが、
安心のために、介護用のオムツパンツを履いている人は結構いるんだとか。
「俺、こないだ履いてみて病みつきになりそうだった」とかいう人もいて
生理現象だもの、しかたないよ、と言ってもらえたような気がして
とても安心した気分になりました。
その後、実際に、オムツを履いたことはないのですが
「なんだ~他にも不安な人はいるんだな」「今度はオムツ履けばいいんだな」と思えたら
不思議と、予期不安は消えたわけです。
トイレに行きたくなるんじゃないかと電車に乗るのが不安な人は、
オムツを履いてみたら、案外、予期不安が消えるかもしれません。
そんなの効かないよ!と思わず、
やってみて、「大丈夫」だった経験を積み重ねることが大事。
やってみてダメなら、他の方法を試すのみです。
一人で試すのが大変だったら、私がサポートしますのでぜひ相談してくださいね。