最近の教育では、もっぱら「褒めて伸ばす」ということが言われてきていると思います。
なので、ビジネス雑誌を見ていると、
ゆとり教育を受けてきた新入社員には、
頭ごなしに叱るのではなく、褒めて伸ばす方が効果的!
なんていう記事も見かけます。
確かに、昔あったような、体罰もアリという教育方針は、
以前ブログでも書きましたが、心理発達面からみて絶対に誤りです。
子どもの頃って、確かに他人からの承認を受けることで
自分の価値を見出そうとします。
褒められて初めて、
「自分はこのままでいいんだ」という価値観を育てていくんです。
なので、褒めることは本当に重要です。
ただ、実は褒め方には「悪い褒め方」と「良い褒め方」の2種類あって、
やみくもに褒め続けりゃいい、ってわけではないんです。
「悪い」褒め方とは?
では、悪い褒め方とはどのようなものでしょうか。
代表的なものは、
「あなたはワガママを言わない、良い子ね~!」
と、褒めることです。
ビジネスマンに言いかえれば
「おまえはどんな仕事でも対応してくれて、本当、いいやつだよな~」
という感じでしょうか。
この褒め方、一見、褒めてその人の良いところを伸ばすかと思いきや、
実は逆効果。
相手に相当なプレッシャーを与えてしまいます。
特に、「良い子である」ということを褒められて育った子どもは
「良い子でなければ、褒められない」という価値観を持ってしまうがゆえに、
常に良い子であろうとします。
こういう子は、正義感たっぷり、優等生タイプになるでしょう。
だけど、良い子じゃなくて、親にワガママを言ってみたい時だってあるわけです。
そういう時も、
「ワガママはしまっておかなきゃいけないんだ」って思ってしまうので、
次第に「ありのままの自分」を出さなくなってしまう大人に成長します。
「ありのままの自分」を肯定できる力のことを、
心理学の用語で「自己肯定感」といいますが、
「悪い」褒め方を受けてきた人達というのは、
けなされて育った人と同じくらい、「自己肯定感」が低いんです。
***
鬱病になる多くの人は、真面目で、普段はしっかりしている人です。
優等生タイプだからこそ、
「仕事で手を抜くことはいけないことだ」
「家事も子育ても完璧でなくてはならない」
「相手の期待にこたえなければ、自分には価値がない」
という思いこみを持っています。
これにプラスして、自己肯定感が低いと、
「どうして自分はこんなことも出来ないんだろう…」と自己嫌悪に陥って
鬱状態になることがあります。
鬱病までいかないまでも、
・社会から認められないことが苦痛で、がむしゃらに頑張りすぎる人
・恋人に認められなくてヤキモキしてるのに、
「自分がワガママ言わなければ愛される」という考えのもと、良い子を演じてる人
・良い子でいようと思うあまり、八方美人になって疲れちゃっている人
が、かなり増えてます。
もちろん、褒めることは重要です。
だけど、少し疲れちゃっている人に対しては、
褒めることよりも、
「そのままでいいんだよ」と声をかけること。
「疲れちゃっているあなたも、あなただから、そのまま受け止めるよ」
という態度が、
その人の疲れた心を癒していくと思います。
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