先日、男性の知り合いと精神分析について話をしていたら、夢分析に興味を持ったようで「俺の夢、占ってくれない?!」と言われました。

 

なにやら、小さい時に繰り返し見てた夢の内容が、

「父親からピストルを突きつけられているときに、突如目が見えなくなって、目の前が真っ暗になる夢」だったとのこと。

バックグラウンドを聞かないことには無意識がわからないので、育ってきた環境や病歴なども聞き、師匠に相談しつつ色々と分析をしてみました。

 

まず、ピストルというのは、攻撃性の強くて、暴力性があるものですよね。人を死に追いやりますから。

そして、その形状から(まあ暴力性という意味でも)、男性性を表すようです。

 

これは、個人的な背景は関係なく、事例を見ているとピストル=男性性ということが多いようなので、普遍的なものなんだと思います。

 

で、父親からピストルを突きつけられているんです。

色々な話を聞いているうちに、お父さんは空手の有段者だということが判明して、

長男だった彼を「男らしく育てよう」ということで、小さい頃から空手を無理矢理習わせてたようです。

 

だけど、空手は痛いし、怖いし、「もうやめたい」と一度お父さんに訴えたようなのですが、

父親から言われたことは、「男ならそんな泣き言を言うな!」だったそうです。

 

こういうことって良くあると思うのですが、彼は、父親から「男性とはこうあるべき」というものを、無理矢理押しつけられていたのだろう、と解釈してみました。

 

 

「その後、空手どうしたの?」と聞いたところ、

どうしても嫌だったから、母親に「行きたくない」と訴えて、結局道場には行かなくなったとのこと。

 

父親に真っ向勝負で「俺は嫌だ!」とは言えず、母親経由で訴えたところが可愛いですよね。まあ、小学生ですからね、、しょうがないです。

 

ここまで聞いて、夢の中で「突如目が見えなくなる」という展開については、
彼はそこから目をつぶった、見ないようにした んじゃないかという解釈が出来るかなと思いました。

「男性とは・・・?」という問いから目をそらした、というか。

 

現在の彼は、というと。

頭が良くて、仕事はきちんとやっているし、見た目もオシャレな普通の男性です。女性とも普通に話せるし、会社では上司とも部下ともうまくやっているようです。

ただ、根は、今でいう草食系男子。

 

恋愛なんてめんどくさい、自分からはアプローチしない、彼女なんていらないし、実際10年くらい彼女がいなくて仕事一筋…。

 

将来的に結婚はしてもしなくてもいいという感じだし、「プロポーズは絶対に男から」というような感覚は皆無。

父親の言う、昔ながらの「男はこうあるべき」という定義から目をそらした結果に、今があるんだろうなあ、と思いました。

 

ちなみに、「男とはこうあるべき」というものから目をそらしただけで、別に女っぽいとか、おネエっぽいわけではないです。

彼女はいないみたいだけど、ジェンダー差を全く気にしない人だったので、「女らしく」ということに囚われていないんですよね。

なので、全てにおいて男女平等がいい、という女性からしたら、とても居心地がいいんじゃないかと思うし、モテるんじゃないかなあと思いました。

本人が、もう少し男らしくありたい、というのであれば、治療目的を「男性性の獲得」にして、どんどんセッションを進めていけばいいけど、

特に問題意識はない模様。(そりゃそうだ)

 

リスクを考えるとすると、

男性なのに男性性を備えていないというのは、 結婚をして、奥さんが子供を産んだ時に、若干の危機が訪れたりするのかなあ、とは思う。

子育てをしてると、なんだか、やっぱり性差を意識せざるを得ないしね。
子供って、お父さんじゃ泣き止まない時もあるし・・・。

父親になって、目をそらしてた「男性とは・・・?」という問いにぶち当たったあと、彼がどうやって成長していくのかが楽しみ。

そもそも彼が結婚をするかどうか、まだ不明だけど、動向を追っていきたいと思います。