先日、友達と殺人事件について話をしていたところ、

「『こんなやつ死ねばいいのに』と思うことがよくあって、何かをきっかけにして、自分も殺人を犯してしまいそうで怖い・・・」

という話になりました。

その友達は、自分でも感情をコントロールできないことが多いらしく、

精神分析の本を読んでいると、それには自分の育ち方や家庭環境が影響しているんじゃないか、と薄々感じていたんですよね。

 

確かに、その人の話を聞いていると、家庭環境は結構複雑。

実家が資産家で、母親は子育てをしないでセレブ生活。彼はお手伝いさんのような人に育てられたそうです。

母親との思い出は全くなく、父親のことも憎んでいて絶縁状態。よく頑張っているなあ、というほどのアダルトチルドレンだし、母性喪失状態でした。

 

母性喪失状態と犯罪との関係は、

母性喪失の人が全員犯罪に手を染めるわけではないけれど、

罪を犯す人は100%が母性喪失、ということが分かっているほど、縁の深いものです。

そして、母親の愛情不足から犯罪は引き起こされる、という可能性は否めないと言えるでしょう。

 

というのも、母性喪失の人は、母性が足りないせいで、心的エネルギーを溜める容器に 穴がたくさん開いている人たちです。(詳しくは「心的エネルギーの容器の話。」)

 

子供のころに満たされなかったものを埋めるべく、社会に出て一生懸命頑張るんだけど、
容器に穴が開いているから、心がどうしても満たされない。

頑張っても頑張ってもエネルギーがたまらなくて、なんだか報われないような気がしてしまうことも多いようです。

そこで、「何が悪いんだろう」って考えたとき、

母性喪失の人たちは自分自身の反省ではなく、他人に責任転嫁をする傾向があります。

「何が悪いんだろう」→「社会を悪い」→「悪い社会は憎い」→「憎き社会は破滅すればいい」ということで、

通り魔やテロなど、破滅型の犯罪を起こすことになるんです。

 

私の友達の話に戻りますが、

その人の不安は、「自分は母性喪失の状態だから、犯罪者になるリスクがあるんじゃないか」というもの。

ただ、母性喪失をしていても犯罪者になる人とならない人に分かれます。全員が犯罪に手を染めるわけでもありません。

 

その違いはなにか…というと、

どこかに救いがあったかどうか 大きな論点になるそうです。

 

具体的には、おじいちゃんやおばあちゃん、学校の先生、など、親の代わりに、「君は君のままでいいんだよ」と教えてくれる存在がいたかどうかです。

もしいた場合は、そういう人たちが救いとなって、誰かに憎しみを感じても、殺人には至らないところで踏みとどまれるんだそうです。

おそらく私の友達は、母親には愛されなかったかもしれないけど、お手伝いさんに愛情を注いでもらったようです。

そのおかげで道を踏み外さずにいるんだと思います。

今は結婚もしているので、奥さんも救いになっているんじゃないかなあと思います。

 

家族でも、友達でも、恋人でも、カウンセラーでも。

絶対に味方でいてくれる存在がいる、というイメージが、「社会もまあまあ悪くない」と思わせられる唯一のことなんだと思います。