初めて会う人に名刺を渡すとき、

心理学を勉強したことない人からは、

まず、「精神分析って何ですか?」と聞かれます。

 

その時はたいてい、「『精神分析』というのは、色々ある心理学の分野のひとつで、

無意識の分析をベースとした学問です」と答えています。

 

フロイトが創始した後、ユングとか他の弟子が拡散して、

日本でも研究されているものなのですが、

 

残念なことに、知名度はあまり高くありません。

 

 

知名度が高くない、ということは、

あまり多くの人に支持されずにきた…ということじゃないかなあと思うのですが

 

きっと、どこかに誤解があるような気がしていて…、、

 

それが精神分析の残念なところだと思っています。

 

***

 

そこで、どうして誤解されてしまっているのか、原因を考えてみました。

 

まずは、学術論文が少ないこと。

 

精神分析は無意識を扱います。

無意識は数値で測れるわけではないので、

論文として発表するには、いくつかの臨床例を紹介する形になります。

 

それが、「科学的根拠がない」と言われてしまうんです。

 

実際、医療場面で使われることはほぼない状況ですし、

そう言われても仕方ないのかもしれないですが…、

 

精神分析は100年以上も存在し続けているものです。

すべてを数値化・可視化できない部分に、真理が詰まっていると感じています。

 

 

さらに、精神分析家と呼べる、力のある後継者が育たないというのも、

精神分析が世の中で広がっていかない原因でもあると思います。

 

精神分析家になるには、相当な時間数を臨床に割かないといけません。

 

特に、「教育分析」と言って、自分が精神分析を受ける必要があるんです。

 

 

そして、後継者が少ないので、どうしても、

精神分析を受けられる場所が非常に少ない状況にあります。

 

精神分析に興味はあるけれど、どうもそういう場所が近くにない…となると、

多くの人に広まるわけがありません。

 

***

 

あと、もうひとつ残念なことは、

精神分析を受けることになったとしても、

多くの人が、葛藤の壁を乗り越えられないことです。

 

「葛藤の壁」と呼ばれるものにぶち当たったとき、

それが辛すぎて、行くの止めてしまうしまう人が多いんです。

 

葛藤の壁を乗り越えられないことを、その人の無意識が抵抗していると言うのですが、

 

セラピーに行こうとしたら体調が悪くなってドタキャンをして、

そのまま行きづらくなっちゃったり、

「家事が忙しくなっちゃったから」とかいう理由で行くのを止めたり、

 

まだ無意識の葛藤が解決していないのにも関わらず、

正当化した理由をかかげて精神分析を続けないという状況は、

明らかに無意識が抵抗している、と言えます。

 

無意識が抵抗を示す時というのは、

分析結果を受け入れることができない時が多くて、

 

分析結果を受け入れてしまうと、

自分の何かが傷つくんじゃないか、と無意識におびえている状況だと思います。

 

実際、夢分析をすると、無意識に追いやっていた記憶が掘り起こされることがあります。

 

その結果、気分が悪くなる人もいれば、

頭がショートして帰り道の記憶がない、っていう人もいます。

 

専門家の中にも、そこまで辛い思いをして精神分析をやることはない、

過去のトラウマには触れず、前だけを向いていけばいい、って言う人もいます。

 

 

だけど、精神分析の考えとしては、

 

根本治療をするためには、

 

無意識の根っこにある記憶を一度外に出して、

不安定な土台をまずはぶっ壊すことが大事…

 

という理念があるので、、

 

分析家と一緒に壁を乗り越えていくことで、成長が待っていると考えています。

 

 

壁を乗り切るのに必要なのは、ただ、勇気です。

 

壁に向かう勇気が出るまで分析家は待っていますので、

もし頻繁に行けなくなったとしても、定期的に出てきてください。

 

そして、壁にぶち当たったときこそ、

「よし、自分を変えて、絶対幸せになってやる!」と思えたら、

そこから先に、今まで見えなかったものが見えてきます。

 

 

 

この、「経験してみないとわからない」という点が、

実は精神分析の最大の残念ポイントかもしれませんね。

 

よりたくさんの人に精神分析を受けてみようかなと思ってもらえるよう、

私としては、ブログなどでうまく伝える努力したいと思います…。

 

 

 
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