母性喪失だとどんなことが起こるか・・・。
ボウルビィの研究によると、母性喪失の状況で育った子供は、
発達に遅れが出たり、病気になりやすかったり、うつ傾向が強かったりする、と言われています。
臨床でもその通りとなっていて、
発達面や健康面、メンタル面において、年を重ねるごとに差が出てきます。
これは、エネルギー論で考えるとわかりやすいかな、と思っています。
例えば、子供が3歳までに受けた母性(まなざしとか、スキンシップとか)は、
心のエネルギーを貯める容器を作る役割、としてみると
養育者に母性があればあるほど、きちんとした容器が形作られるんですね。
素材のイメージ的には、シャボン玉の容器から木の容器、ガラスの容器から鉄の容器、という具合。
んで、まなざしや声かけが少ないと、カタチも、
底がまったくない容器、とか、側面に穴が空いた容器になってしまうのです。
人は、やる気を出したり、頑張ったりするときに、心のエネルギーを使っていますが、
容器に入っているエネルギーを全て使い切ってしまっても、
一晩ぐっすり寝ることで、また少しずつ貯まります。
あと、「癒やし」と呼ばれるものがあれば、エネルギーは貯まりますね。
ゆっくりお風呂に入ったり、誰かに褒めてもらったり、
何か良いことをして「ありがとう」と言われたり。
エネルギーを放出したら、なんらかの方法で備蓄する必要があるんです。
あ、美味しいものを食べる、というのもそうですね^^
ただ、あまり寝られない日々が続いたり、
備蓄をしないままでずーっと頑張り続けてると、
容器が空っぽの状態が続いて、身体的にもエネルギーがなくなって動けなくなる。
これが、うつ病です。
うつ病になってしまうと、エネルギー庫がカラッカラなので、
休養してたっぷりとエネルギーを備蓄しないと、動ける力が生まれません。
仕事を少し減らしたくらいでは、エネルギーは全然貯まらないのです。
うつ病の人に「がんばれ」と言ってはいけない理由も、これでわかりやすくないですか??
頑張るにはエネルギーが必要なんです。
そのエネルギーがカラカラないのに、「頑張れ」と言われるのは辛いことでしかありません。
ただ、本人にはどうやってエネルギーを備蓄をしたらいいのかがわからない。
なので、カウンセラーや家族のサポートが必要になってくるのです。
うつ病になる人全員が、穴の空いた容器を持っている、とも言えないのですが
穴の数が多ければ多いほど、穴の空いていない容器を持っている人に比べたら、
エネルギーが枯渇するスピードは遙かに速いですよね。
なので、子供がうつ病にならないためにも、しっかりと母性をもって
「まなざし・関心・声かけ・スキンシップ」の4つを十分に与えてあげた方がいいです。
ちなみに、底がない容器をもっている人は、
エネルギーが容器に入ってきて、通過したときにしか頑張れません。
これは、依存症になる人が持っている容器です。
アルコール依存や、ギャンブル依存。
アルコールやギャンブルでエネルギーを備蓄している時だけ元気で、
それが無くなるとエネルギーが出せなくなる。
なので、とにかく備蓄をしようと、どんどん深みにはまってしまう、という構造があります。
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ということで、
うつ病になった人や、依存症になった人が根本治療をするためには
この容器の形を変えていく必要があります。
この容器、母性の力で出来上がっているので、
やはり母性に似たもので補っていくのが近道です。
“お母さん”代わりの存在に、同じようなことをしてもらうんですね。
ただ、第3者が育て直しをするという手法は、かなりのスキルが必要だし、リスクを伴うので、、
やっぱり近くにいる人、家族がサポートするのが一番です。
プラスして、エネルギーを使いすぎてしまうコンプレックスを解消すると
あまりエネルギーを放出せずに済むので、
そのコンプレックスを解消するには、
やっぱり精神分析で無意識を探ることがいいと思います。
どうしてエネルギーが枯渇してしまったのか、どうしてうつ病になったのか、という論理も探れますし。
カウンセリングではそこまでやらないので、
どうにか連携プレーできればいいんですけどね。