ユングが提唱した実験で、連想語検査というのがありまして、
個人的には、「刺激後テスト」と呼んでいるのですが、
このテスト、夢分析をするのと同じように、無意識を探るのにはかなり有効なテストなんです。
やり方は、
100個の刺激語を用意して、
ひとつひとつの言葉から連想したものをまず書いておきます。
で、全部書き終わったらその紙は伏せて、
次に、別の紙に書かれた同じ100個の刺激語について、はじめに連想したものを再生します。
思い出して書く、という作業をするんですね。
そうすると、大体は覚えてるんだけど、
100個のうち20個くらいは、違う言葉を連想するか、1回目の連想が思い出せないか、で、
連想内容がブレる刺激語が出てきます。
この、「ブレてしまう」という現象が、無意識で起こっている抵抗を示しています。
その単語に対する複雑な思いが絡み合ってて、イメージが定まらない状態・・・という感じだと思います。
なので、そのブレた刺激語を探っていくと、
その人の無意識下で、どういったことが葛藤を生み出しているのかがわかる、という仕組みです。
ブレた刺激後を一つ一つ解消して、全ての葛藤を解きほぐすと、
理論的には「あとは幸せが待っている」という事になりますが、
一つ一つ解消していってから、もう一度テストしてみると、違う言葉がブレることもあって、
全ての葛藤を取り除くことは、ほとんどできなさそうです。
ユングが使っていた刺激語は、100個、全て決まった単語です。
だけど、同じような葛藤を持つ人でも、再生がブレる刺激後は全然違うことが 多々あります。
なぜそのようなことが起こるかと言うと、それは、一人ひとりの持つ言葉の辞書が、個人個人で違うからです。
「永遠」という文字から、「永遠の愛」を想像する人もいれば、
「永遠の別れ」を想像する人もいますよね。
この違いはなぜなのか?と追及していくことが、精神分析の醍醐味だし、とても面白いんです。
刺激語の解釈をしていくと、無意識で葛藤していることが明確にわかってしまうので、
心の奥底に隠し続けてきた弱い部分が出てくる可能性は大いにあります。
ただ、葛藤が生じるのが人間なので、それはそれとして見つめて、
少しずつ前に進んでいけばいいんだと思っています。